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「俺の命に代えても十代目をお守りします。」
「うん。言われるまでも無いよ。だから俺はいつも君をそばに置いてるんだよ。」
「はい。」
「いざと言う時は、ちゃんと俺の盾になってね?」
嘘。
本当は君と一緒にいたいだけ。
でも君はその言葉を言葉に出したら、きっと距離を置いてしまうだろう。
きっと俺の言葉を否定して、「駄目です。」「いけません。」と拒否するだろう。
俺はそれに耐える事ができる自信がない。
君に拒否される事が怖くて、俺は君に嘘を重ねる。
「君が好きなわけじゃない。ただの性欲処理だよ?」
「君は俺の犬なんだよね?だったら飼い主の言う事を聞かなきゃ。」
「君は本当に愚かだよね。謝って済むと思うのならマフィアなんてやめたら?」
「役立たず。本当の犬の方がまだ使い道があるよ。」
「この淫売。飼い主に黙って何他の雄犬と交尾してるのさ。」
「辛い?辛いと思うならやめれば?君だったら雲雀さんでも骸でもリボーンでも誰でも優しくしてくれるだろう?」
「誰にでも足を開くんだろう?昨日は誰と交尾した?ねぇ?その汚い体で俺に抱かれるつもりだった?俺に抱かれたい?だったら熱湯で消毒して来いよ。」
「君なんて大嫌いだよ。」
「君を傍に置いておくのなんて嫌だよ。仕方なくだから。」
全部、嘘。
君は俺が酷い言葉を投げかけると困ったように笑っていたから。
俺は君を笑わせる方法なんて知らない。
骸や雲雀みたいに君が安心したように微笑ませることも、リボーンやバジルみたいに楽しそうに笑わせる事なんてできない。
昔はそんな事なかった。
いつからだろう。
俺が獄寺君に笑顔を向けられることがなくなったのは・・・
俺がボスになった日から。
俺がいつも通り獄寺君に話しかけたら、獄寺君はいつもの笑みを浮かべる事はなく、ただ人形のように無表情で。いつもよりも抑揚の無い口調で「おめでとうございます。」と言った。
きょとんとした表情をしていたのかもしれない。
獄寺君はついさっきまでの、就任式に俺を見送ったときの獄寺君ではなかった。
一言で言えば人形のようだった。
それから俺が何を言っても獄寺君の表情を変える事はできなかった。
俺が無理矢理に彼を抱いた。強姦と言えるかもしれない。
獄寺君は顔を苦痛に歪ませた。
俺は獄寺君の首を絞めた。
ひゅーひゅーっと漏れた呼吸音。聞こえた小さな言葉。
「ごめんなさい。すみません。許してください。」
やっと引き出せた感情がそれだった。
本当はこんな事をしたいわけじゃなかった。
ただ獄寺君に俺の傍で笑っていて欲しかっただけ。
ただそれだけ。
本当は獄寺君の事が大好きだし
ずっと一緒にいたい。
俺は嫉妬深いから、獄寺君が俺以外の人間と楽しそうにしてると焼餅を妬いてしまう。
大好きだから獄寺君を抱きたいと思う。
きっと、嘘に隠れて俺の本当は君には伝わってないんだろうな。
だから俺は獄寺君を庇って死ねる事に後悔はない。
ただひとつ悔いが残るとしたら・・・
獄寺君の笑顔を見たかった。
「十代目・・・どうして俺なんて庇うんですかっ!十代目は俺の事を盾にするっておっしゃったじゃないですか!」
「あはっ・・・どうして庇った・・・か、わからない・・・かなぁ?」
「わかりませんっ!十代目は俺がいなければいいっていつもおっしゃっていたじゃないですかっ!どうしてこんな時に俺の命をつかってくださらなかったんですかっ!」
「獄寺君・・・って、本当に・・・昔から・・・鈍い、よね・・・」
「俺は・・・十代目の為になら命を投げ打っても良かったのに・・・」
「・・・獄寺君・・・」
俺は君の白い頬に、血に塗れた手で触れた。白い頬が赤い血で汚れてしまう。
「獄寺君・・・」
俺は獄寺君の名前を呼び、震える彼の唇にそっと口付けた。
舌を差し込む。あふれた血液が、獄寺君の口の端から流れ落ちる。
「十代目・・・」
「あいしてるよ。獄寺君。・・・君は?」
瞼が重い。
暗闇が落ちてくる。
意識が落ちて、結局獄寺君の返事は聞くことが出来なかった。
『いつまで泣いてる。』
『リボーンさん・・・俺・・・十代目に嫌われるようにしていたのに・・・十代目が危なくなったとき、十代目が迷うこと無く俺を盾にできるように・・・俺が、至らなかったばっかりに・・・』
『綱吉は、お前が好きだったんだ。』
『・・・どうして・・・俺がいなければ良いって、おっしゃっていたのに・・・』
『お前は・・・鈍いな。本当に・・・』
『十代目にも・・・言われました・・・』
『お前に酷い言葉を言った後の綱吉は、いつも辛そうだった。就任式の日から、こっち・・・綱吉はお前の感情を引き出したかったんだろう?お前から引き出せたのが、辛い顔だけだったからお前に酷い言葉を投げていただけだ。お前を嫌いだったわけじゃない。』
『嘘ですよ・・・十代目は俺の事嫌いっていらないって・・・・・・うぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!十代目ぇえええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!』
俺の為に泣いてくれるって事は、君は俺を好きでいてくれたのかな?
嘘ばっかりだったけど、最後に本当の事を言えた。
・・・最後に獄寺君の本当の気持ちが、聞きたかった。
俺は知らない。
棺桶が花で埋め尽くされたこと。
獄寺君が俺の死体に獄寺君が縋り付いてみっともないほどに取り乱し泣き喚いていたこと。
獄寺君が俺に「愛しています」と言っていた事。
俺は、知らない。
END
「文字書きなのに小説をヒビキさんにプレゼントしてなかったので10年後ツナ獄をヒビキさんにプレゼントフォーユー!死にネタに見せかけて実は死んでないと言うオチはいかがですか?」
というコメントと一緒にいただきました!はうはう、いつも有難うございますよーーー!!
なんていうか・・・素敵の一言なんですが、その前に・・・その前に言いたい事が!!!
鈴木さんの小説なのに十代目が白い!
真っ白だよ!!ビックリだよ!!
あまりの純愛っぷりにクラクラです。れ、レアレアだよね、これ?本当にもらっちゃっていいんですか?いや、返す気もないですが!!
本当に有難うございました!!こちらからはいつもながらな妄想しか送れませんがコンゴトモヨロシク。
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