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「それで鳥のお兄ちゃんは何しに来たんですか?」
にっこりと微笑むハヤトちゃんに無表情でそれを見下ろす雲雀。はっきりいって間にいるツナは気が気ではない。いつ、この群れるのを嫌う並盛の秩序に鉄槌を下されるか・・・。
ハヤトちゃんを抱えて逃げるか?・・・けどそれでは後日学校であったときに目をつけられるのがオチだ。
雲雀を無視して店内で買い物を済ませて自然に去る?・・・けどハヤトちゃんは雲雀と接触したくてたまらないのが見て取れる。ここにいる限り、ハヤトちゃんは何が何でも雲雀とコミュニケーションをとろうとするだろう。
迅速に、何も無いよう済ませたいツナと間逆に位置するハヤトちゃん。二人の距離は隣にいるにもかかわらず大変遠いようにツナには感じた。
「君達は何しに来たの」
「ハヤトとじゅーだいめは遠足のお菓子を買いにきました」
「そう・・・僕も同じだよ」
感情のこもらない声でそういう雲雀にツナは「ありえねー」と心の中で激しく突っ込む。いつものリボーンたちに対するように突っ込まなかったのはツナの防衛本能がそうさせたのかもしれない。だってこの話のツナはブラッドオブボンゴレに覚醒しきっていないので、雲雀に対抗する手段がないのだから。
そんなわけでツナは触らぬ神に祟りなし、という考えで二人のやり取りを黙って見守ることにした。いざとなったら抱えて逃げるくらいの覚悟だったが。
「ハヤトはトンカツとかタコのお菓子を買いました。鳥のお兄ちゃんは何のお菓子を買うんですか」
「僕はもう決まってるよ。君、いつものやつを用意して」
「は、はい!」
突然声をかけられて、店の店長は言われるままに奥へと入っていく。流石並盛の秩序。病院のみならず駄菓子屋といえどその手中に押さえているようだった。
そして数分して店の奥から店長が大きな袋に入れたお菓子を持って現れる。
「こ、こちらになります」
「ありがとう」
「わーすごい大きいですーー」
ハヤトちゃんは雲雀が受け取った大きな袋を見て目を輝かせる。袋に入ったお菓子の山。ギュウギュウに詰め込まれた中身を見て雲雀は黙って300円を置いていくと店を去っていった。
腐っても並盛の風紀委員。律儀に遠足で定められた金額は守るらしい。
「じゅーだいめ!すごいです!!あれで300円なんですか!」
「え・・・まぁね」
ツナは信じられないような気持ちで雲雀の後姿を見送った。確かに300円以内だった。一瞬だけ見えた袋の中身、それは「う●い棒」だったのだから。300円もあれば袋一杯買えるだろう。一本10円なんだから。
「漫画では見たことあったけど、本当にやる人がいるとは・・・」
耐え切れずにツナは口に出して突っ込みの手を入れる。突っ込む相手はいないけどコレが突っ込みの性だった。
「買い物上手ってやつですね!じゅーだいめ、ハヤトもあんな買い方がしたいです」
「いや・・・ハヤトちゃんは普通に買い物しようね」
お願いだからと疲れたような声のツナにハヤトちゃんは渋々頷く。その後、無事に買い物を済ませ家に帰った二人。
雲雀の台詞を思い出し「いつもの、で分かるってことはいつもあんな買い物をしてたんですか!」とツナがツッコミを入れたのは寝るまでだったのだがそれはまた別の話。
結局、ハヤトちゃんのストーキングで自分のお菓子を山本が購入する時間がなかったのもまた別の話。
そんなこんなで今日もハヤトチャンノ周りは平和(?)です。
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