「わーこれが日本の“駄菓子やさん”ですか」
「ハヤトちゃんはこういうところ初めて?」
「はい、家だとママかお姉ちゃんがお菓子作ってくれるたので・・・」


ぼーっとしたままそれほど広くない店内を見回すハヤトちゃん。
食べたことのない形のお菓子に、見た事のない色のゼリー。不思議な絵柄のパッケージに可愛らしいキャラクターのものまで多種多様。まるで玩具箱をひっくり返したかのような光景にハヤトちゃんは目をきらきらさせながらいくつかのお菓子を手に取った。


「じゅーだいめ、これはなんですか?」
「それは・・・えっとトンカツみたいな味がするやつ」
「トンカツ!面白いです。ハヤトはコレを買います」

「じゅーだいめ、このロッビオ(赤い)のお菓子はなんですか?」
「それは酢だこだね。すっぱいタコのお菓子」
「タコ!ポルポ(蛸)のことですね・・・ハ、ハヤトはこれも買います」

「じゅーだいめ、このネーロ(黒い)くておおきいのなんですか?」
「それは、ふがしってお菓子だよ。周りについてる黒いのは甘いやつ」
「甘いんですか!じゃあハヤトはこれも買います」


始めてみるお菓子に興味半分、冒険半分で買っていくハヤトちゃん。ツナもその隣で説明しながら自分のお菓子を選んでいく。

その時・・・。


ガラッ


一人の客が入ってきたことにツナは気付き、そして・・・絶句した。


「ひ・・・・・・・・・・・・雲雀さん・・・・・・・・・」
「わぉ、先客がいたのかい」
「あ、鳥のお兄ちゃんだ!!」
「君は・・・前に勝手に応接に入って寝てた子だね」


雲雀は興味深そうに隼人ちゃんを見下ろしながら首を捻る。そして隣で硬直しているツナを見ながら『ふーん』と小さく呟いた。


「君の妹?」
「知り合いの子でクラスメートです」
「ちがいますー!ハヤトはじゅーだいめの右腕です」


ぴょンぴょんと跳ねながらアピールするハヤトちゃん。けどツナにとっては気が気ではない。


(お願いだから余計なこと言わないで!)


ただでさえ群れるのを見るのが嫌いな相手なのだから、ここで仲良し二人組みと判断されれば小さい子でも容赦なく殴られそうでツナは心の中でハヤトちゃんがこれ以上余計な事をしないよう祈った。
しかし、ちょっと考えて見ると疑問がある。


「あれ、ハヤトちゃん・・・雲雀さんのこと知ってるの?」
「はい、ハヤトは先週に鳥のお兄ちゃんの鳥さんに遊んでもらいました。そしたらと鳥さんをお兄ちゃんが迎えに来て名前を言う前にお兄ちゃんも鳥さんも帰っちゃったので鳥のお兄ちゃんは鳥のお兄ちゃんなんです」
「へー・・・」


ワンブレスで言い切った幼女に驚きながら最近、雲雀の肩によく止まっている鳥を見る。鳥のお兄ちゃん・・・まんますぎるだろう。だがツナは雲雀の前で言うのも怖かったしハヤトちゃんを傷つけるのも嫌だったので心の中で突っ込むだけにしとくのだった。