「じゅーだいめ!じゅーだいめ!!」


ハァハァと息を切らせながらツナに抱きつく。
とことんツナと同じ学校、同じクラスが嬉しいのだろう。

綱の腕にぶら下がるように腕を絡めながらハヤトは満面の笑みだった。


「ハヤトちゃん・・・次の授業は直ぐ始まるよ」
「トランクイッラメンテ(大丈夫)です!ハヤトはじゅーだいめの隣の席なのでギリギリまで一緒にいます!」


そう言うとハヤトは嬉しそうに、絡めた腕をさらに絡めた。

まぁ慣れない学校だし無碍にも出来ないだろう。それになんだかんだ言ってもハヤトは可愛い妹みたいなものだ。実際、ほおって置けないというところもある。


「うわ、ほんとに小さいな」


ツナの影から様子を見ていた山本がハヤトの姿を見て声をかけた。
ハヤトは突然、声をかけられてビックリしたのかツナの後に隠れるとひょっこり頭だけ出しながら山本の様子を伺う。


「じゅーだいめ・・・誰ですか?」
「あ、紹介がまだだったね。俺の友達で・・・」
「山本武だ。よろしくな」


山本はそう言うと人懐っこい笑みを浮かべながらハヤトに手をのばした。
ハヤトもその笑みに安心したのかオズオズと手をのばすと小さな手で握手を交わす。


「ヨ、ヨロシク・・・」


ハヤトはまだ怯えたまま山本を見上げた。
まるで野生動物のような警戒心だ。そうとう人見知りが激しいらしい。

これは慣れるまで俺と同じクラスでよかったかも。
そんな事をツナが考えていると、急にハヤトは無言で涙をため始めた。プルプルと震えながら首を左右へ振り、必死でツナの名を呼ぶ。


「じゅ・・・じゅ・・・・・・じゅうううだいめーーー」
「ど、どうしたの!?」


ハッと気づいたときには遅かった。ハヤトの手を通して伝わる負のオーラ。


「や、山本・・・・」


冷や汗をたらしながら山本を見ると、
そこにはかつての爽やか野球少年の姿は無かった。
一言で分かりやすく言えば・・・犯罪者予備軍?

ハヤトの手を握ったまま顔を真っ赤に染め、短い息を吐き続ける姿を見ながらツナは心のそこから思う。

前言撤回。ハヤトは俺と同じクラスで正解だったかも。


ツナは素早くハヤトの手を山本から抜くと後に姿を隠す。危険だ。危ない。デンジャーだ。思わず同じ意味の言葉をつなげてしまったが、まぁ雰囲気というか切羽詰った感じが伝わると良い。それくらい・・・山本は怖かった。


「じゅ、じゅーだいめ・・・・」


ツナの背中で震えながら、ハヤトは涙声を上げる。


「ハヤトちゃん・・・学校にいる間は絶対俺の側を離れちゃダメだよ」


山本はまだ負のオーラを出しながら隼人を狙っている。
これから先、こんなことがまだ続くのだろうか。


ツナはぼんやりとそんなことを考えながら、
今日からの学園生活に不安を覚えた。


きっとリボーンならこんなツナを見て言うのだろう。
『可愛い部下を守る事がボスへの第一歩だぞ』と。


なんかハメられた感も無くは無いが、
これから先、学園生活は波乱万丈ぽいです。