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「失礼します・・・新しい仕事ですか?ボンゴレ十代目」
今から5年ほど前。仕事の最中急に呼び出された骸はボンゴレアジトのツナの部屋に入り次第そう呟いた。
骸の仕事は基本的には表では出来ない仕事。つまり秘密裏に行われる闇の部分、裏の仕事である。そのため隠密に徹することが常であり、こうして堂々とツナの前に姿を現すことは少ない。
それが今朝になって急に一人で部屋に来るように連絡が入ったのだ。これがどれほど特例で珍しい自体なのかは、骸がボンゴレに入って初めてのことなのでよく理解している。通常なら・・・今までならありえない事態だ。
骸は緊張しながらも動じるようなそぶりを見せぬようにしながら初めて向かい合うボスに頭を下げて伺った。
「ボンゴレ十代目、それで僕に用事とは・・・」
「あぁ、用というか君が考えている通り仕事の依頼なんだけどね」
ツナはニコニコと笑いながら机のうえに用意しておいた書類を骸に手渡す。
骸は此処まで機嫌の良いツナを見るは初めてだった。何かいいことでもあったのだろうか?そんな事を考えながら渡されたばかりの書類を封筒から取り出し目を通す。
書類には一枚の写真、銀の可愛らしい少女が微笑みかけているものが付属されていた。そして書類の内容はその少女の生い立ちや個人情報に関するものばかりである。
次の暗殺の対象はこの子なのだろうか?骸はそう思うと胸が痛んだ。無邪気に微笑みかける姿から年齢はまだ幼いことが想像できるし、書類の情報を見る限りではボンゴレを始めマフィアとつながりがあるようには見えない。
偶然にも都合の悪い現場を見られての口封じか、なにかしらこの子がボンゴレへの不興を買ってしまったのか・・・。
まだあったことも無い子の未来へ胸を痛めていると、骸の考えを読んでなのかツナは首を振りながら口を開いた。
「残念ながら骸が考えてることとは180度違う仕事だよ、俺が頼むのは」
「と、いいますと?」
あいも変わらず気持ちがわるいほど機嫌の良いツナの様子に逆に不安を覚えながら骸は写真と書類をもう一度見つめる。
「骸に頼みたい仕事はね」
銀の髪と緑の目を持つ可愛らしい少女。
「今度ボンゴレに入るその子を誰にも気付かれないように守ること」
名前は―――獄寺 隼人。
「は、はい?」
書類から顔を上げた骸はツナの顔を見ながら思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
僕が守る?この少女を?
「それがこれからの骸達の仕事だよ」
そう呟くツナの顔は悪戯が成功した子供のように楽しげで・・・骸は放心状態のままわけもわからずその時は頷くことしか出来なかった。
そして翌日、ボンゴレにやってきた隼人の背後で数人の人物が木の中や建物の影など色んなところで見守っていたのだが勿論隼人は気付くことも無かったという・・・。
そらに見守っている骸の目の前で行われる隼人の天然とドジっぷりに骸が保護欲を書き立てられることになるのだが、これも隼人は気付くことも無かったという・・・。
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