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入学式は滞りなく終わった。つまらない式典に、つまらない祝辞。
普段の僕ならサボってしまうところだが隼人のいる手前、在校生の席で大人しく式が終わるのを待つ。まったくあんな詰まらない事をダラダラと話すなんて校長とはいえ噛み殺したくなるね。市会議員や式のプログラムもありきたりで面白くないし。形が大事とはいえぶち壊したくなるよ。
・・・・隼人が見てるからしないけど。まったく隼人に感謝して欲しいね。
そんな感じでイライラしながらも退屈な入学式は2時間近くをかけて行われ無事に終わった。その後、すぐに会場整理を始めた僕は大体を風紀委員たちに指示すると調べておいた隼人の教室へと走る。
一年の教室。廊下を歩く新入生達は僕の姿を見るとぎょっとした表情を浮かべていた。まぁ確かにブレザーの学校に学ランは目立つだろう。それに僕の場合は良いも悪いもこの学区内に知らない人間がいないくらいだからね。それがどんな噂のせいかは知らないけど。一人歩きしてくれているおかげで僕はちょっとした地元の有名人だった。
目当ての教室で立ち止まる。そしてノックも無しに扉を開けると突然、隼人が飛び出し僕の顔を見た途端に抱きついてきた。
「きょyきょyきょyこyこdじょyjdy、キョウちゃーーーん!!!」
絹を裂くような悲鳴・・・からは程遠い。けどこれが彼女の悲鳴なら僕は受け止めて見せよう。そんな事を考えながら飛び込んできた隼人を腕の中にしまうと、隼人が飛び出してきた教室の中を見た。
隼人が苛められてるんなら教室を破壊してでも報復するつもりだったし、隼人を怖がらせるものがあるなら存在も残さないくらい破壊するつもりだった。
けど覗き込んだ教室に見えるのは普通の教室の風景。むしろすこし初々しさが残る新鮮な雰囲気の教室。
新入生達は普通だし。別に悪質なムードもないし。
「隼人?」
なにがあったの?そう尋ねようとしとき、僕の言葉をさえぎるように教室で誰かが叫んだ。
「ごーくーでーらーーーーー」
その声を聞いた隼人の体が震える。いったい、誰なわけ?僕の隼人を此処まで怖がらせるのは。僕が苛立ちながら声のするほうを向くと、そこには成り行きを喜劇を見るように楽しんでいる沢田と・・・僕も良く知る少年が満面の笑みで立っていた。
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