困ったように眉をひそめ頬を染めながら僕を見上げる隼人。
この並盛美少女グランプリに今すぐださせて優勝を掻っ攫えそうなくらい可愛い少女は今なんと言った?


「スカート・・・俺、絶対に似合わないし・・・男みたいな格好のほうがいいと思うんだけど」
「え・・・・っと・・・」
「それは・・・ねぇ・・・」


沢田としてもコメントに困るようだ。僕としても困る。
そんな青少年二人の感情を知ってか知らずか隼人は何度も『似合わない』、『変だから』を繰り返す。


「だから、俺はスカートとか・・・女の子みたいな格好はしないんだ!」


そう宣言すると隼人は僕を睨みつけた。


「・・・・・・・」


僕としては見てみたいんだけど、隼人の女子制服姿。すごく似合うと思うんだけど。というか似合ってないと思い込んでるのは隼人だけじゃないのか?
沢田は隼人の言葉を聞いてからちょっと困ったような、その反面楽しんでいるような顔をしている。


・・・。こいつ、なんか事情を知ってる。僕は直感的にそう思った。
後で絶対に探り出してやろうと決意すると、僕は隼人の手を引いて体育館の入り口を向かう。

気がつけば時間は入学式開始間近で迫っていた。


「とりあえず入学式はそのままでいいから・・・話はそれからね」


今から女子の制服なんか用意できるわけないし。この場はしょうがないだろう。
僕達の耳に、新入生を集めるアナウンスが流れる。僕達は足を速めて会場に向かった。