「え?似合わ・・・・ない?」


つめよる僕に聞こえた第一声は隼人の悲しげな声だった。今にも泣きそうな、というかすでに目尻に涙も浮かべている隼人の声。
なんで僕の一言を、こう大げさに受け取るのか。


「いや、似合う似合わないじゃなくってね・・・・」
「じゃあ・・・似合ってる?」
「うん・・・似合ってるんだけど」


そういうと隼人は嬉しそうに微笑んだ。そりゃあもう僕が何度も天使のようだと例えたあの笑顔で。うん、隼人が喜んでくれてるのは嬉しいよ。嬉しいけど・・・話が進まない。
僕は気がつけば壮大に溜め息をついていた。


「雲雀?どうしたんだ」


心配そうに見上げてくる隼人。


「いや・・・なんでもないよ」


安心させるようにそう言うと、僕の葛藤が分かってか視線の端で堪える様に沢田が笑ってた。・・・なんかムカつく。


「獄寺くん。雲雀さんは君の制服が女性物じゃないから不思議に思ってるんだよ」


僕の言いたかったことを代わりに沢田が一言。


「あ、そうか」


隼人も沢田に言われて僕の言いたかったことをやっと理解できたらしく、何度も頷く。なんか僕の言葉を奪われたみたいでさらにムカつくね。


「で、なんでそんな格好をしているの」


イライラしながらたずねると隼人は困ったように沢田と僕を見比べた。そして意を決したように僕を見上げるととんでもない一言を口にする。


「だって・・・似合わないだろ?スカート」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」


あ、これには流石の沢田も絶句していた。