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隼人が日本にやってきてから数週間後。それを追ってきたマフィアのボスなる沢田がきて数日後の今日。
隼人が通う予定の並盛中学は晴れて入学式を迎えることが出来た。僕は一足先に学校にいって校門前で新入生の風紀チェック。何もこんな日にと思うかもしれないけれど、やはり初日から分からせておかないと変な真似をするバカがいるからね。躾は初日が大事だ。
そんなことを考えながら体育館の前に立っていると校門のあたりで他の風紀委員が僕の見知った生徒と何かしら揉めていた。遠目から見れば分かる銀の髪。どう見てもウチの隼人だ。
「何やってるんだか・・・」
まぁ大体の想像はつくけど。僕は校門まで走ると、隼人を庇うように相手の風紀委員を睨みつけた。
「君、校門の前で何騒いでるわけ」
「い、委員長・・・」
「雲雀!こいつがうるせーんだよ!!!」
僕の背後では隼人が子犬のように吠えている。キャンキャン、キャンキャン。状況を僕に説明したいのだろうが、興奮交じりの彼女の言葉はどうにも要領を得なかった。
頭を抱える僕に、隼人と一緒に登校してきた沢田が近づいて苦笑交じりに説明する。
「ようはですね、この人が獄寺くんの髪の色が天然だって説明しても信じてくれないんですよ」
「・・・なるほど、ね」
と、言うかやっぱりね。
隼人は髪こそ綺麗な銀髪だが顔立ちは日本人に近いし、言葉も流暢だ。名前もハーフっぽくもないから、証明書の一枚でもなければ信用させるのは難しいだろう。
「この子の髪が天然なのは僕が保障するよ。それでいいだろう」
「委員長!ですが・・・」
「うるさい。僕に逆らう勇気が君にあるの?」
はっきりとそう言い切ると、相手は黙り込んだ。僕の後ろではザマーミロを言わんがばかりに隼人が舌を出している。
僕はそんな隼人にため息をつくと彼女の手を取って体育館に無理やり引きずっていった。沢田も後に続く。かなり僕達は目立っているだろうな。
けどそれでも一つ、確かめたいことがある。僕は二人を体育館の入り口を通り過ぎて裏まで連れて行くと人気がないことを確認して詰め寄った。
「隼人、その格好は何?」
校門の前で見たときはあえて言わなかったけど、隼人が今着ているのは僕達と同じ並盛中学校男子の制服。隼人はそりゃ、男の子に見えなくはないけれどれっきとした女の子。
これはどう見ても、僕のフォローのしようのない校則違反だった。
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