|
 |
 |
睨みつける僕に、腕の中でぐすぐすと鼻をすする隼人。
それを見た沢田は『ぷっ』と噴出すとこらえきれないという様に体を投げて笑い始めた。
「あははははははははは」
「なにが可笑しいの」
「いや、ね。なんていうか予想通りで・・・・・」
笑いすぎて出てしまった涙を拭きながら沢田はゆっくと隼人に近づく。そして耳元に顔を近づけると笑い声のまま隼人に囁いた。
「いいよ、日本にいても」
そのために俺は来たんだから。
そういうと今度は僕を見上げて沢田は言い放った。
「ってことで獄寺くんは日本にいる俺を守るために、ここにいます。ってことで良いかな」
「なにそれ」
「一応さ、名目がなきゃ示しがつかないでしょ」
にっこりと微笑む沢田。けど相変わらず僕を見る目は笑っていない。
「マフィアを辞めさせる気はないんだ」
「まぁね。だってマフィアでいるうちは獄寺くんは俺のだし。辞める日が来るとすれば・・・俺の籍に入って家庭に入るときくらいだね」
沢田がそう言い切る前に僕の右の拳は彼の頬を狙っていた。けれど見抜かれていたのか彼は余裕のある動きで交わすとまた笑い声を上げる。
やっぱり、こいつは一筋縄ではいかないようだ。
「あははは・・・えっと雲雀・・・さんだっけ?まぁ退屈しない程度によろしくね」
「ふん。余裕で要られるのは今のうちだけだよ」
お互い譲る気はないからね。狙う獲物が一緒なら遠慮はなしだ。
僕の腕の中の隼人は展開についていけずあたふたしている。
「とりあえず、日本にいても良いみたいだよ」
けど僕の言葉を聞いて嬉しそうな笑みを浮かべたとき、改めてこの笑顔を守ろうと思った。
絶対、イタリアなんかに行かせないからね。
君が帰るところは僕のところなんだから。
それにしてもマフィアのボスが彼なら、駅前でスカウトされたというの隼人の話もなんだか頷ける気がした。あれも冗談じゃないんだろうね、隼人。 |
|
|
|