豪邸から出てきた人物は、
僕たちとそんな変わらないくらいの年頃の少年だった。

金のツンツンとした髪型に大人しそうな顔つき。
隼人より小さな体に、ほっそりとした体つきは
全体的に大人しそうな印象を与える。
けど実際は見た目ほど甘くはないのだろう。
なにせ今浮かべている笑顔。
人のよさそうな笑顔を浮かべ散るのに・・・彼の目は笑ってなかった。


そんな少年の心情を知ってかしらずか、
彼の姿を見つけた隼人は凄くうれしそうに手を振り彼に駆け寄っていく。
隼人を見つけた彼も一瞬で今まで纏っていたまがまがしいオーラを脱ぎ
笑顔のまま僕たちに歩み寄ってきた。


「やぁ獄寺くん。久しぶり」
「十代目!」


隼人に『十代目』と呼ばれた少年は僕の姿を見ると軽く会釈し再び隼人に笑顔を向ける。笑いかけられている隼人も全身から幸せオーラが全快だ。なんか面白くなくって僕は隼人の肩を自分のほうに引き寄せた。


「誰、こいつ」
「あ、挨拶が遅れました。今度隣の家に引っ越してきた沢田です。よろしくお願いします」
「いや。君には聞いてないから」


ぺこりと頭を下げる相手を一瞥しながら隼人にもう一度尋ねる。


「誰、こいつ」
「沢田綱吉さん。俺がお世話になってたマフィアの十代目のボスだ」
「マフィア?十代目?」


そういえばさっきから隼人は彼を呼ぶときずっと『十代目』って呼んでたもんね。そうかマフィアの十代目ね。十代目・・・。


「ジョークじゃなかったのか・・・」


思わず目頭を押さえてしまった。
幼馴染がマフィアになったたことも驚きだけど、自宅の隣人がマフィアのボスってのもどうなんだろうね。
と、いうかこのときの僕はまだ冗談で片付けたい気持ちがあったんだけど彼を守るようにして立ってる黒服の連中や、彼の一般人から離れたオーラを感じたとき冗談で済ませられないことを僕は理解した。

本気なんだよね、みんな。
本当のことなんだよね、みんな。

なんだか見上げた太陽はいつもよりまぶしく感じた。