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(ヤンデレ―京子編)
私と隼人は双子。
髪も瞳の色も違うし、背丈や体躯も違うけれど私と隼人は同じ日にこの世に命を受けた。同じ女の腹の中から。
「京子はいいな。女の子らしくて」
彼女は良くそう言っては私を羨ましがるけど私は隼人が羨ましくてたまらない。
私の茶髪と違う銀の髪はきらきらして綺麗だし、日本人とは思えない緑の瞳は宝石みたいで私は大好き。隼人は昔からその色のせいで苛められたり好奇の目で見られたから嫌らしいんだけど私からしてみればとても勿体無い話だと思う。あんなに素敵で綺麗なものを笑ったりからかったりするなんて。
けど私は知ってるの。男の子達は隼人が好きだからからかって気を引こうとしてるんだよね。思春期特有の『好きな子だからちょっかいをかける』ってやつ。子供らしい行為の表し方なんだよ。
女の子達が隼人を苛めるのは男の子の注目を隼人が集めるからなんだよね。目立ったりちやほやされたりする子が気に入らない醜い嫉妬心。
そんな毎日だったから隼人が自分の容姿がコンプレックスになった理由も理解できるの。でも教えてあげない。本当のことは何も何も。だってそうすれば隼人は自分の殻にこもったままだもんね。
「京子だけだよ。俺を守ってくれるのは」
隼人にそう言ってもらえるの大好き。隼人の中で味方は私だけだもんね。姉妹の私だけは隼人を苛めたりしない。双子の私だけは絶対に隼人を裏切らない。肉親の強みってやつだね。
だからそうやって何年も過ごしてるうちに学校で隼人は私以外と話さなくなっちゃった。用事があっても私を通して会話をする感じ。自分から喋ろうともしないし接触を計ろうともしない。自分だけの殻に籠もって狭い世界で自分を守る。中学生くらいになるとそんな隼人に皆恐れを出したのか自分達から手を出さなくなったの。
男の子は綺麗な隼人が恐れ多すぎて近づけない感じ。女の子は自分に釣り合わないと遠巻きに見るだけ。幼い頃に比べると尊敬や憧れにちかい見方だけど隼人はそんなことに気づかない。
みんな隼人が大好きなんだよ?でも絶対に教えてあげない。
「京子だけなんだ。俺の傍にいてくれるのは」
そう言ってくれる隼人が大好き。私にすがるような視線を向ける隼人が愛しくてたまらない。歪んだ私の隼人への思い。きっとこれは肉親の情じゃない。もっと深くて汚い感情。
私を頼る隼人に欲情する。
私以外を見ない隼人が可愛くてたまらない。
私だけの隼人が最高に綺麗。
はやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやとはやと
加速する私の思い。だから私はお願いしたの。クラスの男の子達を集めて・・・。
放課後の教室
乱れた制服
汚される体
下肢に流れる血と精液
ボロボロになって捨てられた隼人を抱きしめたら隼人の目から一筋の涙が零れた。流れる涙すら隼人は綺麗なんだね。私が舌で舐めとると隼人は壊れたみたいに体を摺り寄せる。
「京子だけが俺の味方。京子だけは俺を裏切らない。京子だけが俺の全て。他は怖い!他人は嫌だ!!みんなみんな嫌い!!京子だけで良い・・・京子さえ俺の傍にいてくれれば・・・」
あのとき、私はどんな顔だったのだろう。隼人を安心させるための微笑み?自分お願いが叶った喜びの笑み?それともこの歪んだ愛に見合った狂気の笑いだったかな?
それからの隼人は私の傍を離れることが無かった。私以外を受け入れず私に気いられることだけに神経をすり減らす日々。私だけを見て、私だけを思って、私のために生きる隼人。
可愛い、素敵、最高。綺麗で美しい隼人は私だけのものなの!他の誰も見向きもしない!心の隅ですら誰かのために動かさない!全てはただ私だけのために!!
「ごめんな、京子・・・」
「なんで謝るの隼人?」
「だって・・・俺のせいで京子は自由じゃないだろ?」
「隼人・・・」
「俺が縛り付けているせいで京子に自由は無いだろ?けど・・・俺には京子だけだから・・・」
そう呟いて泣き続ける隼人。聖母のような笑みで隼人を抱きしめる私。
うふふふふ・・・教えてあげない。なにもなにもなにも教えてあげない!一生そうして隼人は私と一緒にいればいいんだよ。生まれてくる前と同じように私と隼人は一生こうしてくっついて生きていけばいいの。
縛られてるのが本当はどっちかなんて絶対に教えてあげない!!!!
私が望んだのは隼人と一つになること。腹の中で別れる前のようにもう一度一つになりましょう?私の望みは隼人の望み。私の願いは隼人の願い。だって元々一つだったんだから!そうだよ!そうに決まってるよね!
だから私と隼人だけの世界は隼人も望んでいてくれたことに違いないんだよ。私の幸せが隼人の幸せ。
なのに、なんで?なんで隼人はあの人のところに行ってしまうの。偶然出会ったあの男の人。隼人の落とした教科書を拾ってわざわざクラスまで届けてくれたあの人。
顔は・・・悪くなかったと思う。性格も・・・評判は悪くなかったね。何がどうなるか分からないけどあの人と知り合ってから隼人は変わったの。あの人と話すようになって人との会話に戸惑わなくなったし、あの人と出かけたりしてるうちに人との接触を恐れなくなった。男の人たちと喋ったりするのは前の事件があるからまだ怯えてるみたいだけど以前の日々を考えれば隼人の生活は一転したと思う。
クラスにも友達が出来て、私以外と過ごす時間が増えて、あの人とも気がつけば交際するようになっていた。
何でどうして、どうして、どうして!隼人には私だけだったのに!私だけの隼人なのに!!
隼人には私だけで良いの!隼人の隣には私だけがいれば良いの!!その瞳に映るのも名前を紡ぐのも耳に入れる声も私だけで良いの!!
明るくなった隼人を見てクラスメートの一人は言った。
「隼人ってさ、前より綺麗になったよね」
私は頷けなかった。
私の隣にいない隼人は嫌い。
私以外に微笑む隼人は醜い。
私じゃない人と一緒にいる隼人は汚らわしい。
みんな、おかしいよ。綺麗って言うのはこういうことを言うんでしょ?
「なんで・・・何で・・・いやだ嘘だーーーーっっ!!!!!」
隼人の泣き声はとっても綺麗。
「お願い目を覚まして!俺をおいていかないで!」
隼人の絶望的な顔は凄くかわいい。
「俺を一人にしないで・・・」
一人ぼっちの隼人はなんて魅力的。
久しぶりに欲情した私はあの男の死体の横で彼女を犯した。
光をなくした緑の瞳はショックで私以外を写さない。何が起こってるのか理解できない頭は私以外を刻めない。
「うふふふ・・・お帰り隼人」
表情が無い彼女に私は笑う。いつかのような聖母の笑みで。あれ・・・それとも狂気の笑みだったっけ?まぁ良いや。これで隼人は私のところに帰ってきたんだから。
あぁ、私は満足だ。そして隼人も満足でしょ?私と隼人は一つなんだから。
私と隼人は双子なの。私と隼人は二人で一つ。
うふふふ・・・私達のその後は誰にも教えてあげない。
京子様の手を汚す予定は無かったけどうっかり殺ちゃいました☆雨の守護者の京子様は黒いのです、ナンワレ設定ですが。
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