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(ヤンデレ―骸編)
僕の隼人君は誰よりも綺麗です。醜いこの世界で唯一美しくて汚れのない存在。マフィアという因果な商売の中で光り輝く宝石。まぶしく照らす星のような存在。
それに比べて僕はどうなのでしょうね。血にまみれて心だって外側だって美しいとはいえません。まぁ言い寄る女達がいるので外見はそれほど悪くはないのでしょうが、隼人君と比べればゴミのような存在です。価値観は人それぞれ。時代が変われば美的センスも変わっていく。それでも僕は分かる。隼人君の美しさは永遠だと。
醜い僕と美しい隼人君。
この関係はどれだけ時が変わっても変わらないと思うんです。
まぁ別に僕は愚痴りたいわけではありません。こんな僕でも隼人君は愛してくれてますし、醜い僕でも隼人君はずっと傍にいてくれます。一緒に暮らしてくれましたし、大人の関係だってしっかり結びました。籍を入れることだって・・・許してくれたんです。隼人君は外見と同じで心も美しいんでしょうね。こんな僕と夫婦になってくれるんですから。
隼人君は良い妻でした。醜い僕を支え、僕のわがままを聞いて家庭にだって入ってくれました。マフィアという夢を閉ざした僕に文句を言うこともなく、平凡な生活を送ってくれました。料理だって完璧です。最初は失敗もしてましたが今では美味しいご飯を僕に提供してくれます。人間関係が苦手だったのに僕のために努力もしてご近所付き合いもしてくれました。不器用なりに掃除や家事も努力で乗り越えましたし、なにより血の匂いを漂わせて帰ってくる僕を毎日嫌な顔せず迎えてくれるんです。
僕には勿体無い位美しく立派な君。
僕は君につりあえてるのかたまに不安になります。醜く、血と硝煙で汚れ、血なまぐさい世界に身をおいている僕は君の隣にいてもいいのでしょうか?こんな不安を君に話すたびに君は笑って僕への愛の言葉を呟いてくれます。
「俺は骸を愛してるから」
「骸が好きだから傍にいるんだ」
「だからそんな悲しいこというなよ」
優しくて美しくて清らかな君。唇から紡がれる言葉は心地のいい旋律で本当に僕とは大違いです。けれどです、君がそういってくれるたびに僕は悲しいのです。心が締め付けられるのです。
最初はその理由が分かりませんでした。けど・・・はい・・・僕は気付いてしまいました。
美しくて清らかで誇り高くて優しくて汚れのない君が僕の隣にいてくれるはずがない、と。
そう、君は幻覚なんですね。醜い僕が作り出した。
愛する君がずっと傍にいてくれたら、と願ってしまった愚かな僕の幻覚。
クハハハハハハハハハハ・・・そうです、そうに違いない、だっておかしいですもの、君が僕の傍にいるわけがない、隣で座っているはずがない、愛してくれるわけがない、一緒に暮らしてくれるわけがない、体を許すわけがない、結婚・・・してくれるわけがない・・・・・・・。
だから君の唇から漏れた言葉は幻聴。
「あのね・・・お前に言ってなかった事があるんだ・・・・実は俺のお腹に・・・」
そう呟く君の腹を殴った僕の掌に走る痛みは幻痛。
「ど・・・して・・・・」
涙を流して床に倒れた君の姿も幻影。
消えてしまえ
消えてしまえ
愚かな僕の
妄想の恋人
耳についた君の嗚咽も静かになリ、部屋に残ったのは醜い僕ただ一人。
・・・・のはずなのに、何故君の姿は消えないのでしょうかね?床に流れた血も何で拭いても取れないのでしょうか?鼻につく嫌な匂いは何処からするのでしょうか?
早く消えてください。
じゃないと僕は・・・・・・・また君の幻覚を作り出してしまう。
だから早く消えてください。
幻覚のはずでしょ?最初で最後の僕の愛した人よ。
某超・融・合なヤンデレに対抗したネガティブヤンデレムクムク。なんかこう書くと悲惨な話も笑いを誘いますね!色々台無しだorz
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