■(1)むかしむかしあるところに■
ある日、ある時、ある所での話。
リボーンの家に一羽のうさぎがやってきました。
銀の毛並みと緑色の瞳の綺麗なうさぎです。
このお話は我らがリボーンさん(2●才)と一羽の不思議なうさぎの物語です。
『きゅー・・・・きゅー・・・』
「ん・・・なんだ?足が重い・・・・」
『きゅーーーーー・・・・!!』
コロン
「ハヤト・・・お前が足の上で寝てたのか」
『・・・きゅー・・きゅ・・・』
「落として悪かったって・・・ほら機嫌直して来い(膝ぽんぽん)」
『・・・・きゅ!』
「まったく・・・最初から膝の上に乗っかれば良いのに・・・」
『きゅーきゅーー、きゅー』
「なんだ?スリッパの上のほうがよかった?」
『きゅ!きゅーきゅー』
「???違うのか?おなか空いたのか??」
『・・・・・・・きゅー・・・・・・・』
「急に大人しくなったな。じゃあ、ご飯の用意でもするか」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・きゅー・・・・・・』
すれちがいの一人と一羽。
ハヤトは別にスリッパが好きなんじゃなくってご主人様の邪魔がしたくなくって足元で寝てたのです。おなかが空いたわけじゃなくってご主人様の膝の上にいられて嬉しくて鳴いていたのです。
“なんで分かってくれないの?ハヤトはこんなにご主人様が大好きなのに”
ハヤトにはご主人様の言葉が分かるのに、ご主人様にはハヤトの言葉が分かりません。それはなんて寂しくってもどかしいものなのでしょう!
ハヤトは長くぴんと張っていた耳をしなだらせると窓の外を見ました。空にはぴかぴか浮かぶお星様。
『きゅー・・・・』
“お星様、お星様。どうか俺に大好きなご主人様と話せるだけの力をください”
耳をぴくぴくと動かすと台所からご主人様の声が聞こえました。どうやら本当にご飯の用意をしてくれたみたいです。ハヤトは自分を呼ぶ声に嬉しそうに跳ねながらその場を離れました。
「君の願いはもうすぐ叶うよ」
部屋を出て行くとき、そんな声が聞こえました。けどふり返っても誰もいません。ここはハヤトとご主人様だけのお家なんですから。
でも、その声はどこかで聞いたことのある声でした。
“十代目?”
いるはずのない人の声。ハヤトはそんな事はないと思いながら今度こそ部屋を後にします。
夜空には輝く星が一つ、流れていきました。
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