何を望むの?と尋ねたら愛する人は綺麗な唇からこう呟いた。

「世界で一番美しい花を一輪」

他には何が欲しい?と聞けばその人は少し困ったように微笑む。

「他に何もいらない。ただこの世でもっとも美しい花が欲しい」

あなたがそう言うのなら自分はただ美しい花を捧げよう。
世界で美しい花を、一輪あなたに。





けれどそれは愚かな恋の花。




「おまたせしました。
 これが今日の花です」



『ありがとう獄寺君』



風が運ぶ、それは彼の人の声。
花を黒い箱の中に置き、安らかな顔で眠り続ける彼に口付けを落とす。



「十代目が死ぬ前に欲しがったものですよ」



『あぁ、本当だ。今日も綺麗な花だね』



「喜んでいただけて何よりです」



あなたにそう言って頂けただけで俺は満足。
あなたに喜んでもらえる事が俺の唯一の望み。



「明日もあなたに捧げますからね」



世界で一番美しい花を。



『明日も待ってるよ』



あなたの為に毎日捧げよう。






物言わぬ花に氷のように詰めたい主。
繰り返される俺の独り言。



でもあなたが最期に望んだ願いだから、俺の命が尽きるまで叶え続けよう。


それが俺の恋の花。
すでに枯れ落ちてしまった花だけど愚かにも俺は捨てる事が出来ない。




「明日も・・・あなたに捧げます」



愛する貴方が望む限り、明日も捧げ続けよう。

世界で一番美しい花をただ一人・・・愛する貴方のために。











でもその花が咲き誇っても、あの花は永遠に咲かない。




ラストの獄→十代目。やっぱりみんな片思い祭り。